八王子城の幽霊伝説は本当?!それともガセ?!

八王子城の幽霊伝説は本当?!それともガセ?!

はじめに

この記事に来られた方は、恐らく「八王子城って幽霊でるらしい…ウソと思うけど本当なの…」って不安を感じている方か、「幽霊本当に会える?見たことあるの?」って肝試しネタ探しかどちらかの方でないかなって思います。
最初にお断りしますが、当サイトはあくまで城情報を発信するサイトなので、心霊現象を語るための記事ではありません

まず、なぜ私がこの記事を書こうかと思ったのは、城好きな方はたくさんいて、私よりもっと著名な城サイト持ってる方は多いですけど、学術・研究的側面の情報はたくさん溢れていますが、幽霊伝説に真正面から回答しているサイトってないよなって。

わたしも「MARO参上」という城巡りサイトを運営し、まだまだ少ない方ですがそれでも700近い城に訪問してきたわけで、これから城巡りを楽しみたいって方に、出来るだけ「本当は欲しいのにどこにも掲載してない情報」を出したいなって思って、サブサイトとしてこの「お城へ行こうβ」を運営しているので、この「八王子幽霊伝説」について、私なりの見解をお話しします。

八王子城幽霊伝説とは

まず八王子城の詳細については、わたしの下記「MARO参上」の記事をご参照いただければと思います。

東京都八王子市にある山城
日本100名城の一つで今では麓から山頂までハイキング道が整備(アスファルト舗装路でなく山道です)されており、土日は多くのハイカーで賑わっています。

八王子城の本丸跡

そんな八王子城は天正18(1590)年。
すでに関白に就任し、天下をほぼ手中にしていた豊臣秀吉が、依然関東の大半を治め秀吉と対峙した後北条氏を倒すために、後に呼ばれる「小田原征伐」を行います。

その際、小田原城に次ぐ後北条氏の重要拠点であった八王子城も当然攻撃対象に。

その落城に於いて悲劇的な最期を遂げ、様々な逸話(御主殿の滝と呼ばれるところに、城内の女性達が身を投じ、3日ほど血で染まったなど)が生まれ、それが元で後に心霊現象が起きると伝わったと思われます。

御主殿の滝
御主殿の滝

この手の話の不思議

まず大前提として、わたしはかの大槻教授のように(笑)全てが科学で解明されるなど、心霊現象全てを否定している訳ではありません

しかし悲劇的な最期を迎えた城なら、八王子城が落城した小田原征伐に於いて、関東各地に無数に存在します。

それなのに東京中心部から近い場所の城で、ここまでの幽霊伝説を生んでいるのは八王子城だけだと思います。

例えば今は小江戸などと呼ばれ、観光名所として賑わっている埼玉県川越市だって、その時、後北条氏の重臣である大道寺氏の領地で、豊臣方の前田利家によって開城させられたなど、小田原征伐の該当地の一つなのですから。

そもそも戦闘施設であったのですから、どこの城にだって大なり小なりの悲劇は存在します。

しかし死者が多ければ心霊現象は起き、一人や二人なら起きないってのも論理性に欠けるのでないでしょうか?

時代を近代に近づければ、東京の人気スポット、上野の西郷隆盛像のある場所だって、戊辰戦争の一つ、上野戦争の激戦地で官軍、旧幕府軍多くの戦死者がでましたが、誰も「心霊スポット」などと騒ぎませんよね?

そもそも八王子城で、悲劇が起きたのだから幽霊が出るというなら、川越や上野にも出ないと整合性がつかないと思います。

実体験

では私自身、700近くの城を回ってきて、これまで一度もスピリチュアルな経験をしていないかと言われると、答えは「ノー」です。

城名は言いませんが、関東のある2つの城。
ちなみにそこはインターネットでは、誰も「霊が出る場所」などと書き込んでいませんね(苦笑)

私の経験が、科学的あるいは心理学的にスピリチュアルなものでなかったにせよ、或いは本当に霊的なものであったにせよ、それはどちらでもいいかなと思っています。

ちなみに両城とも経験したのは「誰かに見られている」気配。
一つの方は、「追いかけられている」感じがして走ってその場を立ち去りました。

さて本題の八王子城。
わたしは残念ながら(??)まったく感じることはありませんでした

御主殿の滝も。
山も本丸からさらに先。
大天守と呼ばれる場所や、富士見台まで行きましたが、なにも感じることはありませんでした。

むしろ山中で、なにかの獣が木を傷つけた跡を見つけたこと。
さらに御主殿の滝では猿の大群に遭遇したこと。
こちらの野生動物関係の方が恐怖でしたね(苦笑)

あと御主殿の滝ですが、当時と水の流れがどれほど違うのか分かりませんが、今の滝だと正直、何人もの城の女中が身を投げるような広さはありません。
事実何人かは自害した後、この滝に身を投げた方もいたのだと思いますが、それをかなり誇張されたものが後世に伝わっていると思います。

他にも戦国時代の「悲劇伝説」がある城跡にいくつか訪問しています。
例えば、豊臣秀吉絡みですが、兵庫県三木市で城兵を城に閉じ込め、兵糧攻めで悲惨な状況になったと言われる三木城。
豊臣氏が「大坂の陣」で滅びた大坂城も地元なので何度も足を運んでいます。夜間もあります。
豊臣絡みがまだ続きますが、石田三成の居城で「関ヶ原の戦い」の一連の流れで壮絶な最期を遂げた佐和山城も登りました。

あと、そもそも私は戊辰戦争の先端を切った、鳥羽伏見の戦いの地で生まれ育っています(笑)

他にもありますが、これらでも全く「霊的な何かを」感じたことはありません。
鳥羽伏見の戦いで官軍が陣を置いた御香宮神社なんて、私にとっては子供の頃から、秋には1週間程度続く「御香祭」というお祭りがあり、出店で賑わうので、そちらの楽しい想い出しかありません。

これらの地でも同様にスピリチュアルな体験はありません。

私なりの結論

八王子城の幽霊伝説は、私自身「霊能者」ではありませんので本当のところは分かりません。
ただこういった「心霊スポット」と話題になるところって、単純に誰でも知っている著名な歴史上の事件が起きた場所が多いと思います。

西南戦争で西郷隆盛が最期を迎えた城山ですら「心霊スポット」らしいですから。

話が八王子からそれますが、最後まで西郷と生死を共にした本人や、桐野利秋らが「怨霊」になるって思いますか?
もちろん会ったこともないですし、真相は分かりませんが最後は自ら「望みはしなかったが選んだ」死でしょ?
その結果に100年以上もたっているのに、未だにグチグチ言ってこの世を彷徨うような人物なら、あれだけ多くの人間を惹きこまないと思いますよ。

結局、有名な戦争や事件などで「多くの犠牲者」が出れば、心霊マニアが背景も深く調べずに「心霊スポット」と認定し、インターネットの影響もありインパクトのある情報なので拡散されてしまうのだと思います。

八王子城のクダリなんて最高の悲劇的ストーリーですからね。
かつて関東をほぼ全域抑え、栄耀栄華を誇った後北条氏が滅亡する。
その悲哀が怨念になって・・・という。

しかし、この後北条氏、家祖は北条早雲(伊勢宗瑞)ですが、元は京都の出とも言われ、当時は室町時代。
室町幕府体制の中で、当時関東は山内上杉氏が関東管領を務め、同族の扇谷上杉氏等とともに上杉一族が多くを支配していました。
そこに武力を持って、割って入ったのが早雲自ら。
代が変わっても勢いは止まらず、3代目の北条氏康はこの両上杉を関東から追放し、関東の覇者に名実ともになったわけですが、当然その際には上杉一族に多くの悲劇があったわけです。

その上杉の霊は出ないんですよね。

それっておかしくないですか??
やられた時だけ悲劇のヒロインで、自分達のやったことはなかったこと??
関東各地で上杉側のサムライ達の心霊が現れていないと、やっぱり整合性がつかないわけですよ。

「八王子城だけが特別な歴史背景を持っている」わけではないのですから。

私は八王子城が心霊スポットになってしまったいきさつとして、まず徳川幕府時代に天領となり山にも近づけなくなったので、自然と心霊話が沸き起こり、「あの山には近づくな」と伝わっていったものが、今のインターネット時代で一気に拡散されてしまったのではないかと思います。

おわりに

八王子城を心霊スポットとして恐怖におののく必要はないと思います

ただ私はどの山に入る時も怖いです。
やっぱり不安ですよ。人気(ひとけ)のない山は。

自然に対し畏怖や敬意を持つことは個人的に当たり前のことだと思います。
人はそういう不安な気持ちを持つと、心理的に「心霊現象」に遭遇してしまうことは事実のようです

先ほど私も2つの城跡で「心霊体験」をしたとお話ししました。
実はこの2つとも、訪城前に凄く不安な気持ちを持っていたことを覚えています。

「誰かに見られていた」城は当日は2つ回ったのですが、その2つ目で山城ではないんですが、かなり疲れもありました。
また城巡りを始めたばかりで、経験も少なく「墓地がある」というインターネット情報にかなり敏感になっていました。

「追いかけられた」城もそうでした。
ここはアスファルト舗装された公園なのですが、当日は梅雨時で、昼間だったのですが誰もおらず、途中鬱蒼とした「あぜ道」のような所を抜けなくてはならず、それにも少し「嫌な気落ち」を持ったまま写真を撮っていたところでした。

言われれば2つとも「得体のしれない存在」を感じてしまう背景を私自身もっていたのです。

不安になればなるほど、余計に八王子城を「心霊スポット」だと感じてしまう人が増えてしまうと思います。
それでは残念なほど城跡として立派な遺構を見学できる、素晴らしい史跡だという事実以上に、「イロモノ」のイメージがつくのは残念でなりません。

八王子城の大堀切

ただしここは本当の山です。
ある程度しっかりした装備をしないと、本当に取り返しのつかない事故が起きてしまいます。

八王子城登山道は危険な個所もあります

また野生動物も実際、私は猿の大群に遭遇しています。八王子城内ではほぼ大丈夫だと思いますが、相手は野生ですし「絶対来ない」とも言えないので、熊の危険性もゼロではありません。

正しく八王子城の危険を知り、素晴らしい歴史史跡に触れて頂ければ幸いと思い、この記事を投稿します。