歴史小説感想

「孤闘 立花宗茂」の感想

  • 2019.01.28

2010(平成22)年、中山義秀文学賞を受賞した作品。 余談ですが、作者の上田 秀人氏は現在も大阪府八尾市で歯科医をされており、ケアマネジャーの資格も持っていらっしゃる異色の作家。 「孤闘 立花宗茂」は戦国時代末期、九州の大友氏の重臣で、名将として名高い高橋紹運の長男として生まれるも、その後、同じ大友氏の重臣・戸次道雪に養子として引き取られ、大友一族の立花氏を継いだ立花宗茂の生涯を描いた作品。 宗 […]

「平の将門 (吉川英治歴史時代文庫)」の感想

  • 2019.01.22

明治生まれ、歴史小説家として名高い吉川 英次(よしかわ ひでつぐ)氏の著書。 桓武天皇の流れを汲む平良持(良将)の子として、関東に生まれた小次郎は、史実では生まれ年は不詳。 900年頃だと考えられている程度の謎の人物。 後に将門(まさかど)と称し、関東一円を席捲することになる人物は、良持が死去後、叔父の国香によって事実上、京都へ厄介払いに出されます。 そこで「八坂の不死人」と呼ばれた藤原不死人(架 […]

「最低の軍師」の感想

  • 2018.09.11

1987年生まれと、大御所が並ぶ時代物小説の中では若手になる著者の作品。 千葉県臼井城を守る城主・原胤貞。 原氏の主家にあたる小田原の後北条氏連合軍を、越後の上杉輝虎(謙信)が攻撃した、永禄9(1566)年の「臼井城の戦い」が物語の舞台。 後北条氏重臣の松田氏の血縁にあたる、松田孫太郎(康郷)が臼井城に入る前に、たまたま出会った白井浄三入道という謎めいた軍師が主人公。 白井浄三入道は、実在したとさ […]

「尻啖え孫市」の感想

  • 2018.09.04

戦国時代、紀州に存在した鉄砲をウリにした「雑賀衆」。 「雑賀衆を味方にすれば必ず勝ち、敵にすれば必ず負ける」とも恐れられた、その衆のリーダー格だった鈴木重秀こと雑賀孫市を主人公に描かれた小説。 物語は、織田信長がまだ岐阜城主だったころ、目当ての「姫」を探しにその領内に足を踏み入れたところから始まります。 木下藤吉郎と名乗っていたころの豊臣秀吉が、織田家に味方させるため奔走。 その中で生まれていった […]

「箱根の坂」の感想

  • 2018.05.29

戦国大名、北条早雲の半生涯を上中下巻の3巻に渡って描かれた、司馬遼太郎の作品。 伊勢宗瑞が本名で、存命中には一度も北条を名乗ったことがない早雲ですが、どのように世に出て、一躍世の中を大きく変えるきっかけを作ったのか。 史実もはっきりしない人物のため、作者の創作の部分も少なくないと思いますが、周りの人物も面白く色豊かに物語が進んでいきます。 千萱と呼ばれた今川義元の祖母にあたる、北川殿や、後北条氏の […]

「冬を待つ城」の感想

時代背景は戦国時代末期。 天正18(1590)年に豊臣秀吉が小田原の後北条氏を滅ぼした後、同年7月に宇都宮城で東北に対し宇都宮仕置(奥州仕置)を行い伊達政宗らの処遇を決めます。 しかしその強引な秀吉の進め方に対し、東北では奥州仕置軍の主力が引き上げると、一揆が始まり不穏な空気漂う中、南部信直の家臣筋にあたる九戸政実が信直に対し宣戦布告。 遂に秀吉は豊臣秀次を主力とする軍勢を再度東北へ送り込み、奥州 […]