「平の将門 (吉川英治歴史時代文庫)」の感想
- 2019.01.22
- 歴史小説感想
明治生まれ、歴史小説家として名高い吉川 英次(よしかわ ひでつぐ)氏の著書。
桓武天皇の流れを汲む平良持(良将)の子として、関東に生まれた小次郎は、史実では生まれ年は不詳。
900年頃だと考えられている程度の謎の人物。
後に将門(まさかど)と称し、関東一円を席捲することになる人物は、良持が死去後、叔父の国香によって事実上、京都へ厄介払いに出されます。
そこで「八坂の不死人」と呼ばれた藤原不死人(架空の人物)や、後に瀬戸内海で乱を起こし、将門の関東での争乱と合わせ、「承平天慶の乱」と呼ばれるもう一人のこの時代の中心人物、藤原純友らと出会い(史実では二人に親交があったかは不明)、たくましく育ち、やがて関東で新たな天皇「親王」となり、自らが引き起こした争乱のため、38歳でこの世を去った平安末期の悲劇のヒーロー、平将門を色豊かに描いた作品です。
源平合戦以降を描いた小説は多いですが、なかなかその直前の世の中を描いた作品が少ない中、八坂の不死人や、妻として描かれている桔梗など、フィクションの要素も多分に含まれていますが、平安時代の末期、いよいよ貴族社会から武家社会へ移り変わっていく、時代の大まかな流れを知ることができる歴史小説だと思います。
著者 | 吉川 英治 |
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出版社 | 講談社 |
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