「最低の軍師」の感想
- 2018.09.11
- 歴史小説感想
1987年生まれと、大御所が並ぶ時代物小説の中では若手になる著者の作品。
千葉県臼井城を守る城主・原胤貞。
原氏の主家にあたる小田原の後北条氏連合軍を、越後の上杉輝虎(謙信)が攻撃した、永禄9(1566)年の「臼井城の戦い」が物語の舞台。
後北条氏重臣の松田氏の血縁にあたる、松田孫太郎(康郷)が臼井城に入る前に、たまたま出会った白井浄三入道という謎めいた軍師が主人公。
白井浄三入道は、実在したとされ、当時実質的に天下を治めていた三好一族に仕えていたとも伝わりますが、どこでいつ産まれたか。
いつその生涯をどこで閉じたかも不明な、唯一その名が認められるのが、この臼井城の戦いのみという人物。
この謎の白井浄三入道は、物語の中では華やかな歴史の表舞台にいた名族の血をひくわけでもなく、戦争孤児。
いわゆるエリートではなかった人物ですが、智謀を巡らせ当時軍神と恐れられた上杉軍を破ります。
入道に隠された秘密。
その秘密が徐々に解き明かされていく展開は、スピード感もあり、読者を飽きさせることがありません。
関東のマイナーな城を舞台にした、華々しい上方の戦国物語ではありませんが、読み応え十分の良書です。
著者 | 蓑輪 諒 |
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出版社 | 祥伝社 |
おススメ度:
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