「尻啖え孫市」の感想
- 2018.09.04
- 歴史小説感想
戦国時代、紀州に存在した鉄砲をウリにした「雑賀衆」。
「雑賀衆を味方にすれば必ず勝ち、敵にすれば必ず負ける」とも恐れられた、その衆のリーダー格だった鈴木重秀こと雑賀孫市を主人公に描かれた小説。
物語は、織田信長がまだ岐阜城主だったころ、目当ての「姫」を探しにその領内に足を踏み入れたところから始まります。
木下藤吉郎と名乗っていたころの豊臣秀吉が、織田家に味方させるため奔走。
その中で生まれていった「友情」。
浅井・朝倉連合軍の前に、信長が窮地に追いやられたときは、殿を務めた秀吉の為に命をかけた一戦を行うも、目当ての「姫」を騙され、違う女性を差し出されたことから怒り、信長の下を離れていきます。
ただ、天下などには関心がなく、自由を気ままに行きたかった孫市は、いずれ新たな権力者へと登っていく信長と決裂し、当時信長の天下統一に立ちはだかった石山本願寺の指揮官として、「壮大な喧嘩」を繰り広げます。
孫市については最期もはっきりしておらず、謎に包まれた人物とされていますので、この小説の中で出てくる登場人物や、秀吉との関係などどこまでが史実で、どこからが作者の創造物なのかは誰にもわからないこと。
しかし小説として言えることは、読み終えた後、爽快な気分になれることだけは間違いなし。「ただのオンナ好き」、しかしこと鉄砲と戦に関しては天才的な腕を発揮し、天下の軍勢に立ち向かっていくという点では、映画化され大ヒットした「のぼうの城」にもどこか通じるものを感じます。
上下2巻。
あっという間に読み終わるスピード感のある、巨匠の歴史小説をぜひお楽しみください。
著者 | 司馬 遼太郎 |
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出版社 | 講談社 |
おススメ度:
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